量子情報通信

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[QIC021:多光子量子もつれの増幅の原理を世界で初めて実証]                (2010/06/26:渚 博)

 NICTでは、それぞれに最大10個程度の光子を含んだ、2つの光パルス間の量子もつれの強さを増幅することに、世界で初めて成功。鍵となったのは、NICTが独自に開発した、信号パルス内の光子をフィルタリングする技術。今回の原理では、従来の光信号増幅技術の限界を超えて量子もつれを回復・増幅することができる。この技術は、与えられた送信電力を用いて最大の伝送容量を実現するために必須の技術。

今後、量子もつれを形成する信号パルス内の光子数を、さらに数10光子レベルまで増やすことができれば、将来ネットワークの中継点や結節点(いわゆるノード)で、今回実証した原理を利用することが可能になる。さらに、ノード内でこの増幅原理と量子計算を組み合わせることで最低電力・最大容量の通信ネットワークを実現することができる。

<多光子量子もつれの増幅の仕組み>



     図1 多光子量子もつれの増幅を実現する量子フィルタリングの概念図

 この技術は、離れた2か所に伝送された量子もつれの各信号パルスを、部分反射ミラーを介して一部、光子検出器へ導いて観測し、光子が検出された時のみフィルタを開いて信号と通すというもの。このフィルタリング操作を通じて、不都合な信号パルスを捨てながら雑音を分離しつつ、信号振幅の大きさを増強する。この仕組みでは、ある程度の失敗確率を許すことによって、従来技術では不可能だった極めて低雑音の信号増幅を可能にしている。図1にフィルタリングしている様子を概念的に示す。

<多光子量子もつれ増幅の実験結果>

 2つの光パルス間に形成された量子もつれの強さは、対数ネガティビティと呼ばれる量で検証できる。図2に示した測定結果では、青い点で示したように、フィルタリングを行うことによって、フィルタリングなしの緑の点に比べて、明確な増幅効果が観測された。横軸の初期スクィーズレベルとは、入力の量子もつれの度合いに対応した量で、様々なレベルの量子もつれで実験を行っていることを示している。点線は理論曲線。

                 図2 量子もつれが増幅された様子

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