[QIC007:光子による量子通信] (2003/08/28:渚 博)
量子通信の媒体としては光子が一般的に用いられます。そこで、エンタングル光子の生成、伝送、量子テレポーテーション等の光子利用による量子通信についてまとめました。
最初のエンタングル粒子生成法は、ボームのスピン(偏光)エンタングル粒子対の生成に関する独自のアイデアに基づいています。初期のベル不等式の実験では偏光エンタングル光子対の生成に原子スケードが使用されました。この光子源は原子の反作用のため十分なエンタングルメント度を持っておらず、放射光を効率的に集めることは困難でした。
1990年の初期に非線形光学過程のパラメトリック・ダウンコンバージョン(PDC)が、エンタングルメント状態を生成する有望な方法として位置づけられました。今日最も広く用いられているエンタングル光子源は、最初の生成以来重要な発展があったにもかかわらず、未だこの方法(PDC)に基づいています。
光子以外の粒子間のエンタングルメント生成を取り扱う非常に興味深い実験がいくつかありますが、ここでは対象外とします。
パラメトリック・ダウンコンバージョン(PDC)は、非線形結晶内に押し込まれた光子が小さい確率で低周波数の二つの光子に分裂するプロセスです。もちろん、これが位相適合状態で起こるときにはエネルギーと運動量は保存されなければなりません。
ωP = ω1 + ω2 (1)
κP = κ1 + κ2 (2)
添字Pは押し込まれた光子(pump photon)、添字1,2はモードa及びbの二つのダウンコンバート光子に対応します。結晶内のベクトルκの大きさは|κ|=(ω/c)n(ω)で与えられます。一般に、分散すなわち周波数の異なる光は屈折率が異なるために、上記の2条件は同じ偏光状態の光に対して同時には満足されません。
しかしながら、非線形結晶は複屈折性がある、すなわち各生成光子は光学結晶軸に対する偏光および進展の方向によって異なる屈折率を示すという事実について探求することができます。光子がどのような屈折率を示すかによって、二つのクラスが異なるダウンコンバージョンを識別します。
タイプTでは二つのダウンコンバート光子が同一偏光状態で出現します。タイプUは二つのダウンコンバート光子が直交偏光状態のときに生じます。PDCの最も興味深い特徴の一つは、ダウンコンバート光子が常に対で生成し、それらのエネルギーと同様に放射時点が極めて強く相関していることです。
光子をエンタングルする巧妙な方法がフランソンによってもたらされました。その主な要求事項は光子対が同時に生成し、非平衡Mach-Zender(MZ)干渉計へ直進して、出力が同時に解析されるようなメカニズムを持つことです。図1にその概念図を示します。

図1 エンタングル光子対生成のフランソン提案
図1によればMZの出力として、次のように4つの異なる可能性があるだけだと簡単に分かります。
(3)
ここで、sとlはMZ干渉計のショートアームとロングアームを表します。同時に見ること、すなわち両方とも長いまたは両方とも短い経路で一つの光子を観察することによって、そしてセットアプ時に移相器を導入することによって次のエンタングル状態が得られます。
(4)
干渉計のアーム間の経路長の差が単一光子のコヒーレンス長より長く(単一光子の干渉縞を避けるため)、しかし注入時点が十分に相関し状態
と状態
が識別できないようにするため、注入光のコヒーレンス長さよりは短いことが重要です。これらの条件が確証されれば、D1とD3の一致度は次式で与えられます。
(5)
エンタングル光子を生成するのに非常に成功し広く用いられている方法はタイプU PDCに基づいており、それは偏光エンタングルメントを生成します。原理的にはそれは量子相関発生の自由度において不適切であるように思えますが、もちろん実際的にはいくつかの変量は他の方法より扱いやすいのです。
文献を見ると、EPRパラドックスに関する大多数の議論は位置と運動量(EPRによって当初思い描かれた)を用いずに、非直交偏光基準を用いています。これは概念的観点から理解しやすいだけでなく実験的に極めて便利です。他のいかなる同等の変量にも匹敵し難い偏光を測定し取り扱うためのたくさんの精密な装置があります。
非共通線的タイプUPDCの放射スペクトラムを考えましょう。位相適合条件によって、二つの非同心円錐に沿って放射される水平偏光および垂直偏光の共役周波数を持つ光子が生成されます。さらに、円錐間の角度は入射ビームの光軸方向によって決定されるので、単に結晶を揺動させることで円錐の近接度を制御することができます。
図2に示すように、円錐が互いに交差する方向でω1=ω2の場合に限れば、二つの可能性すなわち
と
の重ね合わせになります。これら二つの状態の量子的重ね合わせを得るには、それらの状態が識別できる偏光による以外方法はないに違いありません。

図2 タイプUパラメトリック・ダウンcオンバージョン
複屈折媒体中を進む時、水平及び垂直ビームは異なる屈折率を示し異なる速度で進んで行くので、結晶端面で発生した光子対だけが同時に検出器に到達し、結晶面内で生じた光子対はH とV の光子間で
の遅れを生じます。
この時間遅れが光子のコヒーレンス時間より長ければ、二つのプロセスは識別できるものとなり、偏光エンタングル光子にならないでしょう。対策は非識別性を回復させる付加的な時間遅れを導入することです。これは光子対生成に用いたのと同様であるが各経路において厚さが半分で90°回転させた結晶を設置することによって行うことができます。
これによって、結晶中心に対する対称地点からやってくる光子対が、同じ時間帯においてHV かVH か識別できない固有の重ね合わせ状態を生成するように、当初の時間遅れ効果を半分だけ逆転させるでしょう。図3にこれらの状況を示します。

図3 補償器による時間遅れの相殺
この図は補償エレメントを用いると、結晶の複屈折性で生じた時間ラベリングがどのように除去されるかを示します。左側の図では、結晶内のある深さで生成された光子が異なる時間、つまり垂直偏光の光子が常に水平偏光の光子より早く出てきます。図において、結晶外へ出て行く直前に生成された光子だけが厳密にエンタングルしていることが分かります。補償器を用いると(右図)時間遅れは半分だけ逆転され、結晶中心に対する対称点からくる光子対は同一のタイムスロットに識別不可のHV/VH放射の重ね合わせを生成します。 |
このことは高品質(純度97%)のエンタングル状態を生成し得る、いわゆる補償器を導入することによって明確に示されています。
(6)
さらに有利な点として、補償器の一つ(光子1の経路にあるもの)を揺動させることで、式(6)の位相φを修正する容易な方法としてH1とV1の相対的な位相の精細な調整ができます。
最近、他の偏光エンタングルメント源がKwiatらによって提案されました。そのアイデアは互いに90°回転した光軸を持つタイプTダウンコンバージョン結晶を採用し、45°偏光の注入光(pump)を用いるものです。各結晶は光子対を生成し、どちらの結晶から光子が来るかを言えない限り、二つの可能な光子状態の重ね合わせになります。
(7)
ビームスプリッター(BS)は多くの量子情報プロトコルの量子光学的実装において重要な役割を果たします。図4に示すように、入射光モードa,bおよび放射光モードc,dを持つビームスプリッターBSの動作は、次のユニタリー変換によって特徴づけられます。
(8)
(9)
ここで、tとrは実数値の透過及び反射係数 入力として、モードaの水平(H)光子とモードbの水平(H)光子からなる状態 ここで、 この入力状態に対して式(8)(9)の逆変換を適用すれば、次の出力状態が得られます。 ここで、 T = R = 0.5の完全50:50 BSに対して、式(13)の第一項は2光子の確率の破壊的な干渉効果によってゼロです。残りの二つの項は2光子が同じ出力ポートからBSを抜け出ることを意味します。この効果は、当初のモードaおよびbの光子検出器における到着時間遅れの関数として表される、モードcおよびdの二つの単一光子の同時記録におけるHong-On-Mandelディップに基づいています。 二つの入射光子が偏光状態および検出器への到着時間について識別不可であることは極めて重要です。もし例えば入射モードaの光子がHの代わりにV偏光であったとすると、最終状態は次のようになります。そしていずれの項もキャンセルされません。 2光子入力におけるBSの動作はしばしば2光子干渉効果として言及されますが、その効果は入射光子位相およびそれらの相対位相のいずれにも敏感ではないことは指摘されるべきです。 ここで、50:50ビームスプリッターおよび偏光ビームスプリッターが、各種偏光エンタングル光子状態を識別するためにどのように用いることができるかを説明します。文献ではしばしば偏光エンタングル光子対の状態が、4つの最大エンタングルベル状態の一つで与えられています。 これら4つの状態は、いかなる2光子偏光状態も表現し得る完全な基準を形成します。残りの3つの状態が対称であるのに対して、 付加的な自由度として空間的なモードを考えましょう。もし空間モードa及びbの二つの光子に注意を限定すれば、対称および非対称(エンタングルしている)な空間状態が次式で与えられます。 非対称エンタングル偏光状態 偏光エンタングルメントと空間エンタングルメントのリンクを組み込んだ4つのベル状態に対する極めて便利な表記が次式で与えられます。 50:50 BSに対する式(8)(9)の変換を用いれば次の結果が得られることを立証するのは今や容易です。 ビームスプリッターを通過後、 高密度量子コーディングは、あるメッセージを送信するためにアリスからボブに送る情報キャリアの数をエンタングルメントがいかに最小化するかの例です。単一光子伝送を考慮すれば、偏光自由度を用いることで通常1ビットの情報を送ることができます。 光子はスピン1の粒子ですが、二次元でスピン1/2を示す横偏光自由度しか調べることができないことに注意しましょう。進行方向の縦自由度は、光子が相対性原理によって許される最高速度で動いているので調べることはできません。 ビット値0は例えば光子の水平偏光( 2ビットの情報を送る古典的な方法は各々1ビットの情報を搬送する二つの粒子を送るものです。異なる情報を持つ00,01,10および11を同定することは、両方の粒子を操作することによって2ビットの情報をエンコードできることを意味します。 量子力学は古典的組み合わせの重ね合わせで情報のエンコードを可能にします。そのような2(またはより多くの)粒子の重ね合わせ状態は、前述のエンタングル状態です。ラベル1及び2の2粒子のそのような状態を表す便利な基準は最大エンタングルベル状態です。 異なる情報を持つ各ベル状態を同定しながら、二粒子の一つだけを操作することによってさらに2ビットの情報をエンコードできます。これは次の量子通信の仕組みによって成し遂げられます。 最初にアリスとボブは各々式(27)で与えられる 1. 同定操作(最初の2粒子状態 2. 状態置換( 3. 状態依存の位相シフト( 4. 状態置換と位相シフトの両方(状態 4つの操作は4つの直交ベル状態をもたらすので、4つの識別可能なメッセージすなわち2ビットの情報が、ボブの2状態粒子を経由してアリスに送られます。アリスは2粒子システムのベル状態を決定することによって、エンコード情報を最終的に読みとります。この仕組みは伝送チャネルの情報容量を古典的な最大1ビットに比べて2ビットに高めます。 図5に高密度量子コーディングの量子光学デモンストレーションの配置を示します。偏光エンタングル光子状態は非共線的タイプUPDCによって生成されます。ボブはアリスに送る前に2粒子の一つに4つの可能なユニタリ変換の一つを遂行します。 変換はH1V2およびV1H2項をH1H2およびV1V2に変えるためにλ/2波長板(ダウンコンバージョン結晶の光軸に対して0°および45°回転したもの)を用い、2項間の相対位相を変えるためにλ/4波長板(光軸に対して0°および90°回転したもの)を用いることで遂行されます。 アリスは部分的なベル状態測定を行います。後ろに二つの偏光ビームスプリッター(PBS)を配置した50:50ビームスプリッターと、1光子衝突と2光子衝突を識別できる光子検出器を用いて、アリスは ボブの設定 送られた 量子状態 アリスの記録事項 λ/2 λ/4 0° 0° 0° 90° 45° 0° 45° 90° 実際の実験では、確率的な2粒子検出器にするために段状に連結した単一光子検出器(各々は2光子事象を1光子事象と識別できない)が使用されていたことに留意しましょう。実験的な限界を考慮すれば、3番目の情報(3つの信号の一つ)はボブからアリスに送られた光子ごとにアリスに転送されます。 量子状態の完全なクローニングは不可能であり、それはいかなる測定過程によっても一般的な量子状態についての完全な知識を得ることはできないことを意味します。今、アリスがキュービット アリスはこの量子状態をボブに伝送したいのですが、粒子を直接ボブに届けることができないと考えます。いかにしてアリスはボブにその量子状態を届けることができるのでしょうか? ジレンマの解決策はベネットらによって提案された量子テレポーテーションの仕組みにあります。その仕組みは図6に描かれています。その仕組みは付加的なエンタングル粒子対2および3(EPRペア)を用い、粒子2はアリスに粒子3はボブに与えられます。アリスとボブによって共有されたエンタングル粒子対2および3が次式の状態にある場合を考えましょう。 量子テレポーテーションの原理:アリスはボブにテレポートしたい初期状態の量子システム、粒子1を保有しています。アリスとボブはまた、EPR源によって放射された補助のエンタングル粒子対2および3を共有しています。そしてアリスは最初の粒子とエンタングル状態に射影している補助粒子の一つについて、結合ベル状態測定(BSM)を行います。アリスが彼女の測定結果を古典情報としてボブに送った後、彼はもう一つの補助粒子にユニタリー変換(U)を施すことができて、それは元の粒子1の状態をもたらします。キュービットの量子テレポーテーションの場合、アリスは完全基底を形成する4つの直交エンタングル状態について射影測定します。彼女の測定結果すなわち2ビット古典情報をボブに送ることによって、ボブは最初のキュービットを再構築できるでしょう。 初めは粒子1と2はエンタングルしていませんが、それらの結合偏光状態は完全な直交基底を形成するので、常に式(27)〜(30)で与えられる4つの最大エンタングルベル状態の重ね合わせとして発現し得ます。3つの粒子の全体の状態は次のように記述することができます。 アリスは今、粒子1と2についてベル状態測定を行います。すなわち、彼女の持つ二つの粒子を4つのベル状態の一つに射影します。測定の結果としてボブの粒子は直接的に最初の状態と相関した状態にあることが分かるでしょう。例えば、アリスのベル状態測定の結果が アリスがなすべきことは、古典的通信チャネルを介してボブに彼女の測定結果を知らせることで、それでボブは粒子1の最初の状態を得るために粒子3に適切なユニタリー変換を施すことができます。これによってテレポーテーションプロトコルが完了します。 テレポーテーション過程でαおよびβの値は未知であり、アリスに最初与えられた量子状態はボブがその状態を得るために破壊されなければならないことに注意しましょう。 図7に単一光子偏光状態でエンコードされたキュービットの量子テレポーテーション実験デモの配置を示します。それは偏光エンタングル光子源とベル状態解析器を使用します。 キュービットの量子テレポーテーション実験設定図。非線形結晶を通過する紫外線パルス(UV:ultraviolet)は、補助のエンタングル光子対2および3を生成します。結晶通過の第2段階での逆反射後、紫外線パルスは別の光子対を生成できます。一つはテレポートされるべき初期状態光子1として用意され、もう一つはテレポートされるべき光子が生成されていることを示すトリガーを提供します。そしてアリスは光子到着の同時性が保たれるように、最初の光子と補助光子の一つが重ね合わされているビームスプリッター(BS)を調整します。ボブは、アリスが検出器f1およびf2で
提示されたキュービットの量子テレポーテーション実験の実現は、 独立に生成され検出器への到達時間によって識別され、ベル状態測定遂行の可能性を排除するであろう光子1と2を避けるために、次のようなテクニックが用いられます。光子2はエンタングルパートナー光子3と一緒にパルスパラメトリックダウンコンバージョンによって生成されます。 倍周波数モード固定のチタン−サファイアレーザーによって生成された入射パルスは、200fs(femtosecond:フェムト秒,10-15秒)長です。パルスは光子1と4の第2光子対を生成するために結晶を通って元の位置に反射されます。光子4は光子1の存在を示すトリガーとして用いられます。 光子1と2は200fs長パルス内にあり、検出器位置で最大の空間的重ね合わせが得られるような可変遅延器によって調整することができます。しかしながらこのことは、エンタングルダウンコンバート光子が典型的に約50fs長の波束に対応するコヒーレンス長さを有しており、それが入射レーザーパルスのものより短いため、検出における非識別性を保証するものではありません。 従って、50fs以上の時間分解能で光子1と2をそれらのパートナー光子3と4とともに同時測定することによって、いずれの光子が一緒に生成されたかを同定できます。検出における非識別性を成し遂げるために、光子の波束は入射パルスの波束より十分に長く引き伸ばされなければなりません。 これは実験では検出器の前に4nmの薄いインタフェースフィルターを設けることによってなされます。これらのフィルターによって、500fsオーダーの時間分の光子波束が取り出され、光子1と2の最大非識別性約85%が得られます。量子テレポーテーションが任意の偏光状態に対して機能することを立証するには、この仕組みが偏光球(ポアンカレー球)における3つの直交状態に対して機能することを示せば十分です。 上述の実験で光子1が進行中であることを示す単なるトリガーとして第4の光子を使う代わりに、光子1と4はまたエンタングル状態 上述の実験的テレポーテーションスキームの限界は、アリスが完全なベル状態測定を行うことができず、量子状態のテレポーテーションの効率が低下することです。完全なベル状態測定は2光子間の制御された相互作用を含意しますが、妥当な効率で実行することは極めて困難です。 S.Popescuはこの問題を避けるけれども伝送される量子状態に制限を課す光学的仕組みを提案しました。実験的デモは文献で見ることができます。その仕組みは偏光と自由運動量の両方を調べる二つの光子だけを含んでいます。 第一段階は進行方向でエンタングルすなわち運動量でエンタングルしているが明確な偏光状態にある二つの光子を生成することです。図8のEPR源を示す箱は、これがいかにして成し遂げられるかを示します。タイプUのパラメトリック・ダウンコンバージョンを用いて、最初偏光エンタングル状態を生成します。 ここで、1と2は相関光子の二つの出力方向を表します。次に、両光子は水平/垂直光子を屈折/透過する偏光ビームスプリッターを通過します。これは偏光エンタングルメントを運動量エンタングルメントに変換し、次の状態になります。 ラベル1と2は各々アリスとボブに通じる二つのチャネルを示します。ラベル1の光子は必然的にH 偏光であり、ラベル2の光子はV 偏光です。 アリスへの光路において、光子1は偏光をHから任意の量子重ね合わせに変化させるPreparer(初期状態作成器)P によって捕捉されます。 Preparerは経路a1およびb1の両方において同じ方法で偏光に影響を及ぼします。状態 プロトコルの次の段階は、アリスが初期状態 第1項は光子1のベル状態に対応し、第2項は光子2の状態に対応します。偏光/運動量ベル状態への光子1の射影に対しては、光子1の偏光および指向特性をエンタングルしなければなりません。これは経路a1とa2において偏光ビームスプリッターを用い、a1からのV成分 相関位相に敏感なこの結合は光子を同じ偏光状態に回転させ、通常のビームスプリッターに干渉させることによって得られます。D1,D2,D3,D4による光子検出は直接4つのベル状態の一つに射影することに相当します。 プロトコルの最後の段階は、アリスがボブにどちらの検出器が光子を記録しているかを知らせることです。この情報によってボブは最初の偏光状態を次のようにして再生できます。ボブは先ず光子2の運動量重ね合わせを、単に経路b2(またはa2)に90°回転板を置き、経路を結合するために偏光ビームスプリッターを用いることによって、同じ偏光重ね合わせに変換します。 この後、ボブはアリスから得た情報に基づいて、H とV を入れ替えH とV の位相差πを与えるために、二つの光学要素のオンオフを切り替えます。これによって光子2の偏光状態は光子1に生成された偏光状態へ変換され、かくして伝送が完成します。 この仕組みの有利なところは完全ベル状態測定を用いるということです。この仕組みの欠点は、アリスに外部粒子のテレポートを許さないことです。従ってPreparerの助けが必要になります。すなわち、アリスに与えられた最初の偏光状態がボブに与えられたものと運動量エンタングルした粒子に用意されていなければなりません。また、状態 量子テレポーテーションは離散的な一組の基底量子状態に制限されていません。L.Vaidmanは量子的粒子の位置と運動量(連続的な一組の基底状態を有する)に対するテレポーテーションスキームを提案しました。このスキームはさらにBraunsteinおよびKimbleによって精緻化され、Caitechによって実験的に実現されました。 アリスがある位置x1と運動量p1の量子的粒子を保有し、離れた場所にいるボブに量子情報を送りたいという状況を考えましょう。xとp間のハイゼンベルグの不確定性関係のため、アリスはx1とp1の両方を任意の精度で測定することはできません。 このジレンマから抜け出す方法は概念的には前述のプロトコルと同じです。図9に示すEPR源によって生成された位置と運動量がエンタングルした補助の粒子対がアリスとボブに分配されなければなりません。 個々の粒子の特性x2,x3,p2,p3は、式(38)によって完全に不確定です。その代わりそれらの結合特性が定義されています。作用素 次にアリスは粒子1と2についてベル状態測定と等価な操作を行います。アリスによる測定は次式を与えます。 ここでaとbは可能な値の連続領域を持つ二つの実数です。これは二つの粒子の位置の和と運動量の差の測定は∞次元ヒルベルト空間への射影を要請することを示しています。 最初のエンタングルメントおよびアリスの測定の結果として、ボブの手元の量子状態について得られる情報は次のようになります。 量子テレポーテーションプロトコルを完成させるためにアリスがなすべきことは、古典的チャネルを介して彼女の測定結果、すなわち測定値a及びbをボブに送ることです。それからボブは彼の粒子の位置と運動量をそれぞれaとbによって置き換えます。最終結果はボブが粒子1の最初の量子状態にある粒子3を保有することです。 連続的量子変量の量子テレポーテーションの実験的実装はカリフォルニア工科大学で行われました。この実装は粒子の位置xおよび運動量pを用いるのではなく、 類似は量子化された輻射場のシングル(トランスバース)モードが量子調和振動子によって特徴づけられるという事実に基づいています。質量m、周波数ω、変位x、モメントpの古典調和振動子はハミルトニアンによって記述されます。 量子力学ハミルトニアンを得るために、xとpは交換関係 量子化された調和振動子に対するハミルトニアンは自然な形をとります。 ここで 量子化された輻射場のシングルトランスバーサルモード(周波数ω)は、作用素 ここで、 そして電場作用素は 直交場振幅として参照される 図10に示すように、エンタングル光場を構成するために 連続量子変量の量子テレポーテーションの光学的構成。EPR源は50:50
BSを通過する ここでベル状態特有の測定を行う問題を考えます。テレポートすべき連続量子変量 平衡ホモダイン検出法を用いて、アリスは量子テレポーテーションプロトコルに要求されるように、値 平衡ホモダイン検出法は、50:50ビームスプリッターの局所振動子で信号フィールドを混合し、ビームスプリッターの出力アームにおける二つの検出器間の光電流の差を記録することに基づいています。測定強度の差は局所振動子の位相φの関数として与えられます。 ここでCは局所振動子の強度および検出器の特性に依存する全体的な定数です。局所振動子の位相φを調整することで、直交成分のいかなる重ね合わせも測定することができます。 量子テレポーテーションスキームに従って、アリスはボブに測定値aおよびbを送り、ボブはそれに応じて彼の側の光フィールドを置き換えなければなりません。ボブは部分反射鏡(99%反射、1%透過)からの光フィールドを反射させ、鏡を通して値aおよびbに応じて位相および振幅変調されたフィールドを加算することによって、実験的に置換を遂行することができます。 ボブは結局初めアリスの手元にあった光フィールドのほとんど完璧な複製を得ることになります。 [出典] [■top■readme■news■broadband■movement■product■technical■column■message■bbs■voice■link■profile] e-mail :webmaster@kurejbc.com![]()

図4 ビームスプリッター
を用いましょう。
(10)
は真空輻射場を示し、
は各モードにおけるボソン生成および消滅作用素です。
(11)
(12)
(13)
および
はBSの反射率及び透過率です。
(14)2.2 ベル状態解析器
(15)
(16)
は粒子交換下で非対称である(すなわちラベル1と2を交換すると
になる)という事実に驚くかもしれません。どのようにして二つの光子はフェルミ粒子的、統計的な非対称性を持つことができるのでしょうか?この混乱の原因は式(15)(16)で与えられた状態が光子の偏光特性だけで、全波動関数については表現していないことにあります。もし同時に粒子の残りの自由度を考慮すれば、完全な像が浮かび上がってきます。偏光エンタングルメントは究極的にいくつかの他の自由度とリンクしていることが分かります。もし二つのボース粒子が非対称偏光エンタングル状態にあれば、それらは全体的なボソン対称性に従うためにいくつかの他の自由度において非対称状態でなければなりません。
(17)
(18)
は、
とリンクしなければならず、残り3つの対称状態
と
は
とリンクします。二光子の波動関数の空間的部分に作用するビームスプリッターが、偏光エンタングル状態を識別するのに使用できるのは、このリンクを介してです。
(19)
(20)
(21)
(22)
(23)
(24)
(25)
(26)
状態は各出力モード(cとd)において一つの光子をもたらす唯一のものです。実際
はビームスプリッターの固有状態です。残り三つの状態において、
は各項の光子が直交偏光を示すことで他の二つと区別されます。この状態はモードcおよびdの偏光ビームスプリッターを追加設置し、その一つの背後の単一光子対検出器の同時記録を観察することによって特定できます。状態
と
は依然として検出機構に対して縮退したままですが、もし2光子効果と1光子効果を識別できる検出器が用いられれば、一緒に同定できるでしょう。3. 高密度量子コーディング
3.1 理論的仕組み
)に対応し、ビット値1は垂直偏光(
)に対応します。ベネットとウイーナーによって理論的に提案された高密度量子コーディングは、情報伝送を1ビットから2ビットに高めます。問題点は通信に先立ってアリスとボブの間にエンタングルメントが確立されていなければならないことで、他の光子の伝送を必要とします。エンタングルメント自体はアリスがボブに送りたいメッセージに関するいかなる情報も含んでいませんが、データ圧縮を可能にします。
(27)
(28)
(29)
(30)
のエンタングルペアの一つの粒子を得ます。そしてボブは彼の粒子(粒子2)だけに4つの可能なユニタリー変換の一つを遂行します。その4つの変換は次のようなものです。
を変えないで)
および
、2粒子状態を
に変える)
と
でπだけ異なり、
へ変換する)
を与える)3.2 キュービットによる実験的高密度コーディング

図5 高密度量子コーディングの実験
と
を特定し、縮退状態で
と
を検出することができます。表1に実験概要を示します。
表 1 相関光子による高密度量子コーディング実験の概要
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と
または
と
の同時性
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と
または
と
の同時性
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,
,
,
のいずれか2光子
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,
,
,
のいずれか2光子4. 量子テレポーテーション
4.1 理論的仕組み
という未知の量子状態のシステムを持つ状況を考えましょう。ここで
と
は、
を満足する複素振幅αおよびβを持つ二つの直交状態を示します。
(31)

図6 量子テレポーテーションの原理
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(32)
であれば、ボブ側の粒子3は
の状態にあります。4.2 キュービットの実験的量子テレポーテーション

図7
キュービットの量子テレポーテーション実験
ベル状態を同定する同時計測で得た古典情報を受信後、彼の光子3が光子1の最初の状態にあることを知り、偏光ビームスプリッター(PBS)と検出器d1およびd2による偏光解析を用いてチェックできます。検出器Pは光子1が生成されている情報を提供します。
ベル状態射影だけを用いるように制限されました。アリスが
で光子1と2を測定するときボブが行わなければならないユニタリー変換は、単純に同一変換です。すなわち、ボブは光子1と同じ状態の光子を検出しなければなりません。4.3 エンタングルメントのテレポーテーション
で生成されうるという事実を検討することができます。光子1の状態は完全に非決定で、すべての情報は光子1と4の共有特性の中に保存されます。興味深いことに、光子4と3は異なる源から生成し決して直接的に相互作用していないにもかかわらず、量子テレポーテーション進展後にエンタングルペアを形成します。エンタングルメントを転送するこの過程の実験的検証は文献に示されており、エンタングルメントスワッピングとして知られています。4.4 量子テレポーテーションに対する2粒子スキーム

図8 量子テレポーテーションの2粒子プロトコル実験
(33)
(34)
(35)
はアリスがボブに送りたい量子状態です。前処理後の光子の総合状態
は次のようになります。これは式(32)の
の形式的な類似物です。
(36)
と運動量エンタングル状態の部分に結合(ベル状態)測定を行うことです。光子1を偏光と運動量に対して4つのベル状態に射影する方法があれば、式(32)と等価な式が得られます。
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(37)
とb1からのH成分
を結合することで行うことができます。
は純粋でなければならず、それはエンタングル状態の一部ではあり得ないことを意味します。5 連続量子変量のテレポーテーション
5.1 理論的仕組み
図9 連続変量の量子テレポーテーション
粒子2と3のエンタングルメントが次の条件で記述される場合を考えましょう。
(38)
と
は各粒子に作用せず(x2+x3)および(p2-p3)に作用することに注意しましょう。従って、エンタングル状態に対して結合特性(x2+x3)および(p2-p3)は両方とも任意の精度で測定できます。
(39)
(40)5.2 量子光学的実装
および
と同じ交換関係に従うパラメータによって特徴づけられる光ビームを用います。
(41)
に従う作用素
として解釈されるべきです。これを次のように定義すれば
(42)
(43)
(44)
と
は消滅および生成作用素として解釈されます。
と
の項で表されます。最も基本的な形において、すなわち単一定数E0にすべての前因子を含め、一つの偏光方向を考慮すれば、固定位置での電場ベクトル作用素は次式で与えられます。
(45)
と
は光子生成および光子消滅作用素と解釈されます。調和振動子の類似物として作用素
と
を定義することができます。
(46)
(47)
と
の項で次のように表されます。
(48)
および
の固有値は、電場の位相一致および不一致成分の振幅(局所振動子に関して)と解釈できます。交換関係
から
が導かれ、それは量子的粒子の位置xと運動量pによく類似して、位相一致および不一致振幅は任意の精度で測定できないことを意味します。従って、今や粒子に対するxとpをシングルモード光場に対する
と
にマッピングすることに成功したことになります。
と
は不確定性関係
を完全に満足します。非線形結晶(光学パラメトリック振動子OPO内で)を用いて、例えば
そして必然的に
に対するスクイーズド光場を生成することができます。
で最大スクイーズドしたフィールド
と
で最大スクイーズドしたフィールド
の二つの光場が、50:50ビームスプリッターの二つの入力ポートに入力する場合を考えましょう。ビームスプリッター以降、ラベル2と3のフィールドはまさに望んだエンタングル状態を特定する関係式で特徴づけられます。
(49)

図10 連続量子変量の量子テレポーテーション
スクイーズドおよび
スクイーズドの二つの光ビームからなります。アリスは
および
を測定するために、局所オシレーター
および
を用いて、入力状態
にホモダイン検出を行います。ボブはアリスから古典通信を介して値aおよびbを受信後、フィールド3に値aおよびbを加えるために変調装置
および
を用いることができて、それでフィールド1に変換します。
で特徴づけられる最初のビームを、
で表されるEPR源からのビームと50:50ビームスプリッターで混合することで、次式で特徴づけられる二つの出力ポートビームが得られます。
(50)
を与えるビーム
の
成分およびビーム
の
成分を測定することができます。
(51)
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