活動報告

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【活動報告6-1】

 沖縄でブロードバンド推進活動をされている伊野波信行(Witchcraft-to代表)さんから沖縄のブロードバンド状況について報告がありましたのでご紹介します。伊野波さんは現在、ブロードバンドをはじめられる方のサポートを営みながら、インターネットアクティビティ組織「親子ネット」で技術サポート(講座のインストラクターから企業からいただいたお古のPCの整備まで)をされています。

〜沖縄のブロードバンド環境について〜 (2005年3月現在)

 沖縄県は日本列島のもっとも西に位置する島しょ県で、沖縄本島を中心に136万2000人(2005年3月現在)の人口をかかえています。県人口のうち、124万3000人(91%)は沖縄本島で生活しているとみられる。(住民基本台帳より)



       図1 沖縄諸島

そのほか、人口の多い島を挙げると、次のようになります。

  石垣(いしがき)島 45,160人(3.3%)
  宮古(みやこ)島  49,218人(3.6%)
  久米(くめ)島    9,416人(0.7%)
  伊良部(いらぶ)島 6,822人(0.5%)
  竹富町(たけとみちょう・西表いりおもて島など) 3,889人(0.2%)
  伊江(いえ)島 5,322人(0.4%)
  伊平屋・伊是名(いへや・いぜな)島 3,470人(0.2%)
  南北大東島 1,892人(0.1%)
  与那国(よなぐに)島 1,718人(0.1%)

 ブロードバンド環境を取捨選択できる「めぐまれた」地域は、沖縄の商業中心地である沖縄本島南部・那覇(なは・県庁所在地)市のまわりになります。一方で沖縄本島北部や周辺離島には設備がないため、ISDNか加入電話によるダイヤルアップ接続しかインターネットへの接続手段がありません。

 次の図は沖縄電力(株)の系列会社であるOTNet(株)による、光ケーブルIP通信網「ひかりふる」のサービスエリアです。黄色く表示した地域の主だったところでサービスが提供されています。那覇市・浦添(うらそえ)市・宜野湾(ぎのわん)市・豊見城(とみぐすく)市がサービスエリアとなっています。これらの地域は那覇市を中心とした商業区域と、そのベッドタウンにあたります。

 
     図2  光ケーブルIP通信網「ひかりふる」のサービスエリア

 次にNTT西日本の光ケーブルIP通信網である「Bフレッツ」のサービスエリアです。沖縄本島中北部にもサービスエリアが拡大されています。地図の一番北で、緑色に塗られた地域は名護(なご)市です。実際には名護市の西側である商業区域がサービスエリアで、大部分をしめる山間部や山の東側にあたる市東部ではサービスが始まっていません。筆者はかって(数ヶ月前)名護市の東にある辺野古(へのこ)地区にブロードバンド環境を引けないか問い合わせた経験がありますが、結果は「No」でした。

 

     図3 NTT西Bフレッツのサービスエリア(1)

 白地図の作成上、地図では塗られていても実際にはサービスが受けられない地域がかなりあります。先にあげた山間部のほか、宜野湾市や沖縄市・嘉手納(かでな)町の大部分を占める米軍基地とその周辺では、サービスインの予定がないか、予定が遅れています。嘉手納基地や普天間飛行場(宜野湾市)の周りでは、基地の中に幹線を引き込めないため、基地周辺を迂回して工事されています。Bフレッツでは、先島地方でも海底光ケーブルの整備が進み、宮古・石垣市でもサービスが始まっています。


     図4 NTT西Bフレッツのサービスエリア(2)

 次にCATV回線の状況を説明します。ここで取り上げるCATVはいわゆる「都市型CATV」で、難視聴対策の区域を限ったCATVはのぞきます。インターネット接続サービスを含んだ都市型CATVのサービスエリアには、727,000人(53%)の人口があります。宮古島を中心にサービスを行っている宮古テレビ(株)では、沖縄本島の沖縄ケーブルネットワーク(株)と同様の施設を使ってインターネット接続サービスを提供しています。サービスエリア内人口は約49,000人(3.5%)です。



     図5 CATVインターネットサービスエリア(1)



      図6 CATVインターネットサービスエリア(2)

  次はADSLのサービスエリアについて説明します。NTT西日本の「フレッツADSL」は、沖縄本島内の大部分をカバーしています。ただし図で塗りつぶされた部分でも、山間部や基地内とその周辺はサービスが提供されていません。筆者の居住する那覇市内でも、米軍基地が開放され、ここ十数年で開発が進んだ地域(小禄金城おろくかなぐすく・天久あめく/おもろまち地域)ではデジタル光回線で幹線や交換局が整備されたため、アナログ設備を使用するADSLはサービスが遅れています。これらの地域ではアナログ回線がもともとないので、「収容換え」という手段が使えず(収容換えするアナログの線がないため)、光ケーブルによるサービス(Bフレッツなど)を待つほうが早いという現象が起きています。




     図6 NTT西ADSLサービスエリア(1)


 ADSLは交換局から6km程度離れると性能が大きくダウンするため、「距離的にアウト」という地域もあります。沖縄本島南部の大里(おおざと)村は地図でもぽっかり穴があいたようになっていますが、これは距離によるものです。大里村内でも人口の多い大里団地では、2005年中にも光回線を比較的近い与那原局から延長して対応する予定(NTT-DO関係者談)とのことです。沖縄本島北部の、山あいの集落(国頭くにがみ村ほか11,200人・0.1%)を結ぶブロードバンド環境は、まだ整備が進んでいません。

 地図にはありませんが、沖縄本島の西にある人口9,000人の島・久米島では、昨年よりADSLがサービスインしました。宮古・石垣島についで人口が多く、高校(久米島高校)を抱える同島では、2年程前まで「高校のすべての端末がISDN回線のインターネットを利用」せざるを得ない状態でした。「授業でインターネットを使うと、大量のアクセスを回線がまかないきれずに授業がストップしてしまう」(久米島高校非常勤講師・談)という悩みを常に抱えていただけに、朗報といえるでしょう。



     図7  NTT西ADSLサービスエリア(2)

  久米島同様、人口の多い島では海底光ケーブルの整備により、ADSL回線「フレッツADSL」がサービス開始されています。「Yahoo!BB」ADSLサービスについては、NTTの「フレッツADSL」提供地域内でサービスが開始しています。



      図8  NTT西ADSLサービスエリア(3)    

むすびに

 沖縄でブロードバンド接続環境を「選び」「迷う」ことができる地域は人口比で約5割と、まだまだ限られているのが現状です。沖縄県では2004年まで、離島や過疎地域の情報格差を是正する動きをサポートする「デジタルデバイド是正事業」を行い、離島の小中学校のインターネット接続環境を整備するなどの処置を行っていましたが、「これからは高度なIT人材を育成する事業にシフトしていく」と、デジタルデバイド是正関連の事業を取りやめ、県が誘致を進めているコールセンターのオペレーター育成やIT産業を支える高度技術者(ネットワークならCCNA以上、データベースならORACLEなど...)を育成する事業へと、切り替えを進めています。

 筆者もサーバー構築講座を2万円台という破格値で(同内容の講座を東京で受けるなら、10万円程度だと在京のサーバー管理者にうかがいました)受けることができ、現在webサーバーを運用しています。県の収入を増やすという意味で、こうした高度技術者の育成は重要です。しかし、高度技術者を支えるミドルクラスのITスキルを持った技術者−学校や公民館などの地域の拠点にあるLANを管理し、利用者を教育できる程度の−は数が足りていないのが現場に携わる者の、いつわらざる声です。

 筆者が学生時代をすごした大阪では、モノや情報を求めて「東の秋葉原に対する」日本橋電気街「ポンバシ」に行くことができました。片道数百円の切符代と小一時間をもってすれば。そこにはパソコンやネットワーク、電子のエキスパートがいつでも控えていましたし、パソコン通信でネットワークというものをようやく知り始めたばかりの筆者にモノを教えてくれる人もいました。しかし沖縄では、モノを知り、仕入れるには、数万円の航空チケットと少なくとも2〜3日、それ以上を必要とします。「オタク」になりたくても、「オタク」を育てる環境までの道は遠く、ごく限られた人しか中央の最先端の情報に接することができません。そういう意味で、筆者は「沖縄県そのものが立地的なデバイド(格差)を抱えている」と主張しています。

 IT技術者に限っていっても、高度なIT技術者の不足はわかりきっているのですが、それを支える層がまだまだ不足しています。パソコンをはじめたばかりの中高年層は都市部でも多いのですが、この人たちをサポートし、初心者から初級者へ育てる環境が、さほどゆたかにないのが現状です。そうした中で県が「デジタルデバイド是正事業」を終了し、那覇市内のIT研修施設を閉鎖したのは、大きな痛手と筆者の目には映ります。

 「ブロードバンドがまだこない」層や、「ブロードバンドはやってきたけれど、使いこなせない」層へ投げてあげられる玉数は、まだ限られています。筆者の属するインターネットアクティビティボランティア組織「親子ネット」の主宰する講座には、そうした層の人たちが大勢やってきます。ブロードバンドを使いこなし、生活レベルを上げる工夫ができるよう、「初級者人材育成」に励んでいきたい、と考えています。

伊野波信行(Witchcraft-to代表・親子ネット技術サポーター・ITインストラクター)

 この資料の作成には、KAMADA Tさんの「白地図KenMap Ver8.0」を利用させていただきました。また、NTT-DO営業グループ及び各社より情報提供をいただきました。協力していただいた関係各位に感謝申し上げます。

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